2018年 05月 18日 ( 1 )

驚異


椎名さんの1stアルバム「Shiena」。1994年8月21日にリリース。アーティストデビュー20周年とか言っていたのはつい最近のことだと思っておりましたらば、来年には25周年ですよ。月日の経つのは速いもんですなぁ。(汗

「Shiena」はなんといっても最初のアルバムなので、椎名さんもいろいろ拙いところがある。それをもって一般的には「歌唱力がない」なんて言われたのかもしれませんけど、本当のところは「Shiena」の楽曲は実に味わい深いんですよ。わたくしはファンですから「あばたもえくぼ」みたいなところがあるのは勿論ですけど、それを差し引いてもやっぱり味わい深い。「Shiena」には下手と切り捨ててしまえない「何か」がある。ここ最近はそれがなにかを追求しているわけでございます。
なんとなく気がついたのはピッチとか声の力などには拙い感じがあるものの、歌声には多彩な表情があること。表情を見事に歌えているといえば良いのかな。まるで声優さんが演技しているみたいな、細部まで気を使って歌っているのがわかります。これは歌うことが精一杯なはずの新人としては驚異的ですよ。

「HEKIRU FILE」その他の情報ではこのころの椎名さんは歌を歌うということにあまり乗り気ではなく、「Shiena」のレコーディングも嫌々やっていたと聞いております。オリジナルソングはそれまで経験したキャラソンと違い、キャラとして歌うのではなく「椎名へきる」そのものとして楽曲を表現しなければならず、それがどうしたら良いのかわからずに難しかったとも。おかげで信濃町のスタジオに通うのが嫌だったと言ってます。にもかかわらず、この完成度は驚異と言わざるを得ません。「椎名へきる」は天才であるというわたくしの説の一つの証拠と言えるのかもしれません。

思うに「Shiena」の各曲が新人離れして表情豊かで味わい深いのは、どうやって歌ったら良いかわからなかったから、キャラソンでキャラが演技するように歌っているからじゃないかと。これは後の各曲でも共通して感じられ(演技するキャラが椎名さん自身に変わりますけど。)、それに加えて見事にあの美しい声を制御する術を身につけるんですけど、「Shiena」ではまだその域に達していないために、声の表情豊かな部分がより純粋に聴き取れるからじゃないかなぁ、と。

そして1994年当時は今と違って優秀なカナル型イヤホンは存在しませんでした。2018年の今、わたくしがXPA-700+SATOLEX Tubomi DH302-A1BsやDH310-A1SS-eで聴いているような音も存在しなかった。高解像度な音で「Shiena」を聴く機会はなくはなかったものの限られてました。
「Shiena」の椎名さんの表情豊かな歌声を今のように聴くことは難しかったのです。もしかすると多くの人はそれに気がつかなかったかもしれない。今だからこそ、その魅力は細部まで気を配った「歌唱力」のおかげとわたくしのようなものにもわかるわけで、実はテクノロジーの進化は「音楽性」についても影響があるのかもしれないなどと思う次第。

by namatee_namatee | 2018-05-18 23:17 | music | Comments(8)