グサッ!

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「ヨコハマ買い出し紀行」第12巻第114話「はこにわ」より。
なぜかナイの「テキサン」に乗って里帰りするタカヒロの図。これ、さりげないシーンなんですけど、タカヒロの「うちの家族です」というセリフがグサッと心に刺さります。
この場にいるのは、見ての通りのアルファさんとマッキ、それにタカヒロのおじさんとマッキの親戚?祖父母?のおじさん&おばさんです。タカヒロのおじさんとマッキの祖父母らしい2人は地元の言葉でタメ口で会話しているので、歳は近いようですね。
タカヒロのおじさんもタカヒロとどういう関係にあるのか不明ですけど、第1巻の第2話「入江のミサゴ」でアルファさんが「おじいさんは今日は?スタンド?」と言っているので、祖父にあたるのではないかと思いますけど、なんといっても連載開始まもない第1巻でのセリフなので、いわゆる「表記ゆれ」の可能性もあって断定はできません。ここはまあ祖父としておきましょうか。w
マッキの親戚らしきおじさん&おばさんはタカヒロに勉強を教えていたりするんですけど、マッキとの関係は詳しく描かれていないので不明です。前述の通り、タカヒロの祖父らしきおじさんと年齢的にそう離れていないように見えるので、マッキの両親というにはちょっと歳が離れすぎているような気がします。なので、こちらも祖父&祖母としておきましょう。

話をタカヒロの「うちの家族です」というセリフに戻すと、これの何が心に刺さるかというと「家族」という表現ですね。
タカヒロにとってはおじさんはもちろん無条件に家族で、マッキもマッキの祖父母もまあ家族みたいなものでしょう。はっきりと意識しているかどうかはわかりませんけど、タカヒロにマッキとはいずれ結ばれるという予感はあってもおかしくないですし。
ではアルファさんはどうなのか。関係として特に血縁があるとか、深い関係(おいおい)とかではない。ましてや人間でもない。でもタカヒロにとっては「家族」だと。
いや別にどうってことはないんですよ。わたくしがタカヒロの立場で飛行機の後席から地上にいるこの人々のことをナイに説明するとしたら、やっぱり「家族」と言ったでしょうし、まあ当然の表現ではあります。が、やっぱりタカヒロが言う「家族」の重みみたいなものは感じられて、そこへアルファさんが入っていることに感動しちゃいます。それは第1巻第4話「雨とその後」の最後の頃でのおじさんのセリフ「こういうときや あんた 家族みてえなもんだしよー」からも繋がっています。その時にはタカヒロはまだ「家族」なんてものを意識していなかったのかもしれませんけど、時を経てそれを意識するようになった。彼の成長が感じられますね。
このさりげない「家族」という一言が、恥も外聞もなくなり、たいていのことには感動もしなくなってしまったおっさんのわたくしの心にぐっさりと刺さるのであります。っていうか、「ヨコハマ買い出し紀行」を真面目に読むまでは、こういう微妙な表現に気がつくこともありませんでした。

もう一つはまったく違う観点から。タカヒロにしてもマッキにしても、両親がいないらしいということに改めてショックを受けます。どこかへ出稼ぎに行っている可能性は否定できませんけど、わたくしとしてはすでに生きていないのではないかと想像します。「夕凪の時代」ではタカヒロやマッキの親にあたる世代がごっそりと存在しないのではないかと。
原因がなんなのかはわかりません。天変地異ではある年代の人口だけが少なくなることは考えづらいので、わたくしとしては大きな戦争があって、タカヒロやマッキの両親、特に父親は従軍したのではないかなどと考えてしまいます。あるいは壮年の人々が総力を挙げて立ち向かい、命を落とすようなイベントがあったか。詳細はよくわかりませんけど「夕凪の時代」の残酷な現実を間接的ながら思い知らされて、これも心にグサッとくるのでした。

そしてこのお話は第14巻第137話「みんなのふね」にも繋がっています。第137話「みんなのふね」では今度はタカヒロが自分たちでレストアした「T-34メンター」にマッキを乗せて里帰りするんですけど、その時に地上にいるのはアルファさんだけなんですよ。つまりタカヒロのおじさんもマッキの祖父母?もすでに他界しているということです。これもぐっさりと心に刺さります。

「ヨコハマ買い出し紀行」を読み始めた頃は、やり切れなさにここら辺にさしかかると毎度、鬱になってました。w
「人の夜」はロボットの人の楽園であると考えるようになって、だいぶ救われました。今更言うのも変ですけど奥が深いんですよ。>ヨコハマ買い出し紀行

by namatee_namatee | 2017-01-07 21:32 | book | Comments(4)
Commented by colonel-mogy0079 at 2017-01-08 02:45
ヨコハマを最初に読んだ頃と今では、私自身の受け取り方が全然違うことに驚きます。
読み方によってここまで印象が変わる漫画も珍しいかなと。今更ながら少し驚いています。

それはそうと、なまさんオススメの「亜人ちゃんは語りたい」初回見事に見逃しました(´д`|||)
そういう情報全然入れてないからノーマークだった……。
Commented by namatee_namatee at 2017-01-08 18:48
>colonel-mogy0079さま
あっ、そういえばウチの嫁さんは録画してくれたかな?>亜人ちゃんは語りたい

「ヨコハマ買い出し紀行」はさらっと読んじゃうとあの世界はのんびりほのぼの萌え萌えな理想郷みたいに感じるんですけど、その裏に流れている「なぜそうなったのか」を気にし始めると一気に来ますね。それがまた結果が出ないように描かれているからタチが悪い。(汗
Commented by ふき at 2017-01-10 11:33 x
■なまさん
> タカヒロのおじさんもタカヒロとどういう関係にあるのか不明ですけど

同じ第2話でタカヒロ自身も、雨に濡れて小屋で震えながら、(おそらく)おじさんのことを「じいちゃん」と呼んでいるので、祖父か、それに相当する間柄と見て間違いないのではないでしょうか?(^^

> わたくしとしては大きな戦争があって、タカヒロやマッキの両親、
> 特に父親は従軍したのではないかなどと考えてしまいます

僕は単純に、芦奈野先生が「田舎は 子供とお年寄り中心のほうが、牧歌的な雰囲気が出せる」と考えて、あのように描かれていたのではないかと見ています。(タカヒロたちの両親については、当初からまったく描く気配が無かったため、すでに亡くなっている可能性が高いと思います)

第3話で「いかにも都市部から遊びに来た」と思しき若者たちがカフェアルファを訪れたり、(ちょっと特殊ですが)第0話のヨコハマ市街には普通に親子連れが歩いていたりします。 「市街地には、普通に20~30代が存在する」のではないでしょうか?

また、第6話の初日の出を見に来ている人たち(ヨコハマ時代の交通事情を考えると、地元民の可能性が高いです)の中にも親子連れが混じっていますし、町内会(飲み会)のメンバーの中の40代前後と思しき男女たちも「タカヒロたちの親世代」と言えなくもありません。

ある特定の世代が少ないというより、あくまで「雰囲気づくりの材料」なのではないかと、自分は考えています。(^^

> 第137話「みんなのふね」 ~ その時に地上にいるのはアルファさんだけなんですよ

あのシーンの切なさは、「アルファさんが精一杯 元気そうに手を振っている」ことで倍増されていますよね。 仮に、アルファさんが「独りで寂しいよー」みたいな顔をしていたとしたら、むしろあのシーンは白々しくなってしまっていたと思います。 芦奈野先生の構成の巧みさは さまざまな場面で実感されますが、あのシーンはその中でも屈指だと思っています(^^
Commented by namatee_namatee at 2017-01-10 16:26
>ふきさま
この件はあの世界がなぜああなのかという根源的な問題に近いところにあるので、なんともまとまった意見がもてないでいます。こうだ!と断定することはもちろん、こうなのかもと考えをめぐらしてそれらしい考えとしてまとめることもままなりません。w

おっしゃるように「表現」だというのも一理あると思います。
同時に、ある世代が他の世代に比べて少ない(多いのか少ないのかはハッキリしませんし、全体的に人が少ないだけなのかもしれませんけど。)ことを予感させる表現も多く感じます。タカヒロもマッキも両親が居ないというのは、やはりなにか理由があってそうなのだろうと思ってしまいます。
ムサシノの国では比較的若い世代の男女は多いものの、その上の世代が目だたないと感じますし。といって16号通り(記憶が曖昧です。)にはそれっぽい人も多いみたいですし・・・どうなのかなぁ。

それでも、これにはなにか共通する裏づけがあっても良いような気もします。あと、おじさんも子海石先生も、なにかと懐かしがるシーンが多いんで、風景だけじゃなく人も失われたんじゃないかとうっすらと感じるんですね。
そういった要素を総合すると、わたくしとしては、ゆるやかに滅亡していく世界が始まる前段階としてがくっと人口が減るようなイベントがあったという予感はどうしてもぬぐい去れないんです。(汗
ただし、それが特定の年代の人口減なのか、地域によって異なるのか、その他もろもろ、何があったのかは描かれていない事柄で、どうがんばってもわからないこととして諦めております。w

>137話
それまで感情を抑えていたか、懐かしい気持ちが勝っていたか、とにかく落ちついていたアルファさんが、こらえきれずに手を振り始めるあのシーンはこうやって書いていても感動します。
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