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5年前の地震で崩壊した本棚を探っていたら懐かしいものが出てまいりました。
見ての通りクライブ・カッスラー先生のダーク・ピットシリーズ、その代表作中の代表作「タイタニックを引き揚げろ(邦題)」と、たぶんその次ぐらいに有名な「死のサハラを脱出せよ(邦題)」でございます。

同じ作家の同じシリーズということ以外のこの2作の共通点は両方とも映画化されたことでしょう。そしてどちらも原作者のカッスラー先生の怒りを買ってしまったということ。(汗
「タイタニックを引き揚げろ(邦題)」は「レイズ・ザ・タイタニック(制作1980年)」というタイトルで「死のサハラを脱出せよ(邦題)」は「サハラ 死のサハラを脱出せよ(制作2005年)」というタイトルでそれぞれ映画化されましたけど、後者はカッスラー先生が訴訟を起こす騒ぎになりました。・・・そういえば結果はどうなったんだろ?w

そもそもカッスラー先生のダーク・ピットシリーズは人気シリーズなので映画化の話はいろいろあったらしいんですけど、「レイズ・ザ・タイタニック」があまりにひどかったので、カッスラー先生は自分の作品を映画化する許可を出さなくなってしまったと言われてます。で、25年かけてやっと怒りがとけて「サハラ 死のサハラを脱出せよ」が映画化されたと思ったら訴訟と。w

個人的な感想を言えば、どちらの映画も言うほど悪くないと思いますけどね。良くはないし、人に薦めるわけには行きませんけど。w
大体がどちらの作品もストーリーが複雑で、2時間とかの映画にするのが無理なんですよ。どちらかといとTVドラマとかの方が向いていると思います。映画ってほど格調高い話でもないですしね。特に「サハラ 死のサハラを脱出せよ」は絶対連続ものの方が面白いですって。次どうなる?っていうスリルに満ちています。
まあ「タイタニックを引き揚げろ」はこの表紙のようにエキサイティングなシーンがあるので、その点では映画の方が良いかもしれませんね。「死のサハラを脱出せよ」に比べればまだストーリーがシンプルですし。

いずれにせよ、カッスラー先生は大人気ないと思います。自身で完全な映画化は無理だってわかっているはずですもん。w

ストーリーについては今更書くほどのことはないと思います。「タイタニックを引き揚げろ」はタイトルそのままですし。
簡単に説明すると、ミサイル防衛システムの超音波兵器を動作させるために必要なビザニウムという希少な元素があって、調べてみるとそれは1912年とかにフランス政府が北極圏のとある島から採掘していたと。採掘したのはコロラドの鉱山師たちで、実は米国政府が彼らに手を回していて採掘が終わったらフランスの裏をかいて横取りという算段。フランスの追跡を振り切って、やっとビザニウムをサウサンプトンから客船に乗せて一安心、と思ったら、その客船はタイタニック号で・・・これを隠蔽された資料や事実を口止めされている生存者とかから推理していく話です。ここら辺は推理パートとでもいうのか、アクションっぽくない。
そしてタイトル通り、タイタニック号を引き揚げるんですけど、そこへ今度はソ連がビザニウムの奪取を目論んでいて、嵐の中、いつまた沈んじゃうかわからないタイタニック号の上で大立ち回りと。ここはダーク・ピットシリーズらしいところ。
そして、なんとかニューヨークの港へ入港したタイタニック号の船倉の金庫を開けてみると、中は空っぽでしたというオチ。w
実はコロラドの鉱山師たちはサウサンプトンでビザニウムをタイタニック号に積み込む時に、もう一回裏をかいておいたと。こうやって要約すると笑い話みたいですけど、実際に作品を読むとすごく面白い。現代の冒険活劇にタイタニック号という昔の客船を引っ張り出す、そのこと自体が「粋」ですよ。
みんなタイタニック号が大きな海難事故の主役というのは知っているんですけど、それが現代になにか関係があるとは思ってない。歴史上の出来事としか考えてない事故で沈んだ古い客船に、今どうしても必要なものがある。歴史上の出来事というだけじゃなくて、これは現代にも関係がある事柄なのだ、と話を進めていく。
貨物を積み込んだと言う事実でタイタニック号がこの物語に登場する必然性をもたせて、さらにタイタニック号といえば沈んじゃったじゃん(誰でも知っている)、だから「タイタニックを引き揚げろ」なんだ!と読者をハッとさせる。ここら辺がニクいところです。

アメリカらしい感動的なエピソードも散りばめられていて、前に書きましたけど沈没地点の近くに沈んでいた、タイタニック号の楽団員のコルネットの話とか、上記の引き揚げられたタイタニック号がタグボートに曳かれてニューヨークの港に入港するシーンで、処女航海の客船が入港するときの歓迎の意を示す伝統に従って消防船が放水するんですよ。あんなボロ船にそんな必要ないだろうと言われると、ぼろぼろで予定よりだいぶ遅くなったけど、あれは歴史上最も有名な客船だからニューヨークの古き良き伝統を見せてやるんだって。泣かせますなぁ。

まあそういったところが映画「レイズ・ザ・タイタニック」ではほとんどばっさり描かれていないので(もうどんなだったか覚えてませんけど。w)、原作とは似ても似つかない、タイタニック号を引き揚げるというだけの話になっちゃっているんですけどね。それでも映画単体としてみれば前述の通り、言われるほど悪くないと思いますけど。「タイタニック号を引き揚げる」ということ自体が、かなりインパクトのあるネタですし。まあ、あまりに原作が良すぎた。残念。w

それに比べると「死のサハラを脱出せよ」はずっと格調が低く、アクション優先という感じです。西アフリカのマリ共和国で不法投棄された産廃(有毒な化学物質とか放射性廃棄物)から、巨大な赤潮が発生、放置しておくと世界中の海が汚染されて、酸素が足りなくなるみたいな話。それと並行して、南北戦争時の南軍の甲鉄艦テキサスが大西洋を横断してアフリカに行ったという伝説がある。実は南北戦争末期、南軍は不利な戦況を逆転するためにアメリカ合衆国大統領のエイブラハム・リンカーンを誘拐し、人質として講和の条件を有利にしようとしていたと。それがいろいろあってアメリカ合衆国(北軍)は講和を拒否しちゃうんですね。南部連合は持って行き場のなくなったリンカーンを甲鉄艦テキサスに乗せて(ry
一方、現代の西アフリカのマリ共和国では独裁者がフランスの産廃処理業者と結託して、各国から産廃を受け入れて処分しているように見せかけて地下に放置。どうみても廃掃法違反です。許可取り消しだ。w
地下に放置された産廃から、いろいろと漏れ出して地下水が汚染され、地下の水脈を通じて海洋汚染も始まるという話です。
それを主役のダーク・ピットが原因を探し出して、悪人を見つけてやっつけるという。まさにダーク・ピットシリーズらしいストーリー。
こちらにも粋なアイテムは幾つか出てまいりまして、まずは甲鉄艦でしょうね。サハラ砂漠の真ん中に砂に埋もれているのが見つかる。あとはマリの独裁者が乗っている車、ヴォワザンとか。ピット氏がスリーブバルブの特徴について作中で語ってますけど、そんなの知っている奴いないって。わたくしは知ってましたけどね。昔のCarGraphicのヴォワザン特集で読みましたし、航空レシプロエンジンでは比較的メジャーです。>スリーブバルブ
映画「死のサハラを脱出せよ」ではそのヴォワザン(なんていうモデルなのかはよく知らないんですけど、たぶん「Voisin Aerodyne」あたりかな)が出てきますけど、あれは本物じゃないと思うんですけど、よくできていました。

2/1追記:
調べたら「Voisin C28」というモデルのようです。「Voisin C28 Sahara Movie Replica」で画像検索するとそのものが出てまいりますね。

ヴォワザンってエンジンだけじゃなくて見た目も個性的なんですよ。代表的なのはこちらのブログの記事のものとか。あとは作中のと思われる「Voisin Aerodyne」はこんなの。

こちらもストーリーは複雑で、いろんな場所と人が出てくるので、簡単に2時間とかの映画にするのは無理。前述の通り、ハラハラドキドキ(死語)のアクション活劇としてTVドラマにした方が面白かったと思いますね。
まあ映画「サハラ 死のサハラを脱出せよ」は単体で観ても悪くはないと思いますけど、南北戦争の甲鉄艦がなぜ出てくるのかとかは原作を知らないと荒唐無稽なだけに感じちゃうでしょうねぇ。原作のダーク・ピットシリーズを知っている者にはニヤッとする小ネタがあちこちにあって、それなりにリスペクトしている感はあるんですけど、いかんせん全体的に薄味になっちゃっていて物足りない。ダーク・ピットシリーズ特有の「粋」な感じを表現するにはいわゆる尺が足りないということでしょうか。だからTVシリーズにしろと(ry

この2作品に限らず、ダーク・ピットシリーズはわたくしの人生に結構大きな影響がありました。「ヨコハマ買い出し紀行」ネタでああでもないこうでもないと世迷言を書いているのも、実はこのシリーズの影響が大きいです。テーマは違うけど、思考の進め方みたいなのはダーク・ピットシリーズから来てるんだと思います。あとアメリカ流の減らず口というか切り返し方、皮肉とかも、このシリーズから学んだことが多いですね。w
by namatee_namatee | 2016-01-31 23:36 | book | Comments(8)
Commented by シロ at 2016-02-01 08:35 x
>なまさん
これが例のシリーズですか。
タイタニックの話はなんとなく、ルパンⅢ世の「燃えよ斬鉄剣」を思い出しました。
Commented by namatee_namatee at 2016-02-01 15:49
>シロさま
「タイタニックを引き揚げろ」は船内に遺された貴金属や金貨が目当てではなく、希少な元素であるというところが一ひねりあるところですね。莫大な国家予算を好きなだけ使って、4,000mの海底から4万トンの客船を引き揚げる。このスケールがアメリカンだなぁ、と思いながら、最後のどんでん返しのあたりにカッスラー先生のセンスが光ると思います。
他には「マンハッタン特急を探せ」あたりもなかなか行けます。かつて鉄橋から落ちた特急列車の話なんですけど、川底をいくら探しても出てこないのを、以下ネタバレのため(ry
お勧めです。w
Commented by シロ at 2016-02-03 15:50 x
>なまさん
実際、タイタニックは色々な伝説がありますからね。沈んだのは実はオリンピック号とか、ミイラの呪いで沈んだとか。
歴史的な重大事にはそういうのがけっこうありますから、事実を土台としてつくられた謎物語というのはロマンを掻き立てられますね。
Commented by namatee_namatee at 2016-02-03 20:41
>シロさま
正確に言うとタイタニック号だけじゃなくて、大西洋航路の定期客船に興味があります。「オーシャンライナー」ってやつですね。
現在隆盛のクルーズ客船とは異なり、客船としてとにかく速さを追求するというロマンがたまりません。現代のクルーズ客船は10万トンを超えるものがあり、オーシャンライナーは大きさではかないませんけど(それでもクイーンメリーあたりは8万トン以上)、大西洋を4日で横断しちゃう速力とスタミナは大変なものです。軍艦も速いけど、あれは一瞬の速さ。オーシャンライナーはずっと30ノットで走り続けられますから。
Commented by シロ at 2016-02-04 15:28 x
>なまさん
ブルーリボン賞ですね。
あの当時、その速度で走り続けられるというのはすごいです。おかげで、Uボートにもつかまらなかったとw>クイーンメリー
Commented by namatee_namatee at 2016-02-04 21:11
>シロさま
瞬間的にならもっと速い船はいくらでもありますけど、奴らは三日三晩その速力で走り続けて、また取って返してってのをずっとやってますからね。人間や動物と同じように、力技のスタミナってのは良い体格が必要なのかななどと思います。w

Uボートにはつかまりませんでしたけど、味方の軽巡に体当たりして沈めちゃってますね。>クイーンメリー
8万トンに追突されたんじゃ4千トンの軽巡などひとたまりもないでしょう。(汗
Commented by シロ at 2016-02-05 16:20 x
>なまさん
ただ、タイタニックの場合はスピードよりも快適性を重視されていたみたいですね。
そういえば、オリンピック号も防護巡洋艦と接触事故を起こしたことがあるみたいですよ。
Commented by namatee_namatee at 2016-02-05 21:57
>シロさま
オーシャンライナーでもブルーリボンを狙うような超高速船はまったくペイしなかったらしいです。国の補助がないと赤字だそうで。
ホワイトスターラインはライバルのキュナードに比べると財務体質が脆弱で、コスパの悪い高速船は諦めてしまったようですね。それで作ったのが3隻でローテーションを組む速力のオリンピッククラスと聞いております。
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