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久々に「カブのイサキ」を読み返す。
これ、初めて読んだ時と今では受ける印象がだいぶ違いますね。
「ヨコハマ買い出し紀行」は一面では日常系の作品とも言えるんですけど、同時にSFでもあり、なんだかよくわからないアイテムや出来事の謎が答えのないままに描かれているのは今までに繰り返し述べてまいりました。

で、「カブのイサキ」、最初読んだ時は、なんていうか「ヨコハマ買い出し紀行」のその謎の部分をわざとらしくフィーチャーしたとでもいうのか、いかにも「ヨコハマ買い出し紀行」のファンを釣ろうとしているように感じてしまい、あまり感心はしなかったですね。
だがしかし、「ヨコハマ買い出し紀行」の現地探索の洗礼を十分に受けた今となっては、「カブのイサキ」の作中で具体的に示される地名がなんとも言えずに愛おしい。w
「ヨコハマ買い出し紀行」では地名や存在する場所については最低限しか描写されませんでしたけど、「カブのイサキ」では10倍(何が10倍なのかというのが極めて大きな謎ではありますけどw)の世界ということで、具体的に名指しで描いても差し支えないと芦奈野先生は考えたのか、三浦半島近隣の地名がポロポロ出てまいります。
大楠山とか大山とか長井とか・・・そればかりでなく木更津、須走その他もろもろ。むしろ架空の世界に現実の地名を描くことによって、謎や不思議を演出している感じ。
で、それが「ヨコハマ買い出し紀行」の舞台となった現地の地名にリンクして、なんていうか既視感がすごい。実際には行ったことのない場所の方が多いのに不思議ですね。

「ヨコハマ買い出し紀行」の芦奈野先生の作品ということで、当然ながらその読者をターゲットとしていたはずですけど、そのターゲットの仕方がちょっと回りくどいというかハイレベルというか。w
誰も彼も現地の情報に興味があるわけでもないでしょうに、現地探索とかどちらかというとマニアックな方向でしょうに、「ヨコハマ買い出し紀行」のフォロワーとしての作品をその要素で描くとは・・・さすがです。
本当のところはわかりませんけどね。終わった作品は終わった作品として、単に思い入れのある地方を舞台にしただけかもしれません。わたくしのように「ヨコハマ買い出し紀行」に未練と思い入れのありすぎる人間がみるとそういう風に見えるというお話です。

「カブのイサキ」には「地表観測機構」の飛行船「メイコンII」というのが登場します。双胴(!)の大型飛行船。これは「ヨコハマ買い出し紀行」のあの「ターポン」のオマージュ(直近の同じ作者の作品でもオマージュっていうのかな?)だと思います。「ターポン」は重航空機ですけど、推進機構のあたりは似てますし。でも、「メイコンII」には乗組員はたくさんいます。4年ごとに交代するようですね。はたして何年飛んでいるのやら。>メイコンII
「地表観測機構」というネーミングと作中での描写(方位も距離も確定できないとか)から、「メイコンII」は空中から地表のランドマークその他の互いの距離や位置関係を調べているのでしょう。そして「メイコンII」が「ターポン」のオマージュだとすると、そこから導かれる「ヨコハマ買い出し紀行」の「ターポン」の目的は・・・

それはそれ。この「メイコンII」というネーミングはちょっとニヤリとさせられます。「メイコン」という飛行船は実在しました。米国海軍の飛行船で、その筋には有名な「空中航空母艦」。いやしかし、ロマンあふれる名前だな。>空中航空母艦
詳しくはWikipediaのこのあたりをどうぞ。飛行船の写真って大好き。w
格納庫の中とか骨組みの図とかたまりませんよ。実はわたくしは飛行船好きでして、このような巨大飛行船が上空を飛ぶのを眺めるというのが一生の夢だったりするんですけど、残念ながらこれは実現の見込みはありませんなぁ。大型の飛行船(硬式飛行船)はとにかく事故が多く、経済的にも大型旅客機にはたち打ちできずに廃れてしまいました。もっとも完全にいなくなったかというとそういうこともなく、かなり小型だし完全な硬式飛行船ではありませんけど「ツェッペリンNT」という、現代版のツェッペリン飛行船は存在します。日本にもあったんですよ。日本飛行船という会社が遊覧飛行とかしてました。飛行船にかかわった多くの例に漏れず資金難のために倒産しちゃうんですけどね。orz
その遊覧飛行、一度で良いから乗ってみたかったんですけど、これが高い。もう詳細は覚えていませんけど、1回12万円とかだった気がします。景気が良かったころだったら乗っちゃったんですけど、運行開始が南東北(本当は北関東)に帰ってきたころで、お金がなくて果たせず。無念。orz

ただ、一度だけ、その「ツェッペリンNT」がウチの真上に飛んできまして、それをほぼ真下から眺めることができました。有名な「ヒンデンブルク号」は全長が245mもありましたけど、「ツェッペリンNT」は75mぐらいしかありません。でもかなり低い高度だったせいもあって、思っているよりずっとでっかくて、しかもかつての硬式飛行船の正当な後継機という思いもあって、なんとなく長年の夢がかなったような気がしたもんです。
by namatee_namatee | 2015-08-21 21:56 | book | Comments(7)
Commented by ボウコウ at 2015-08-21 22:42 x
飛行船好きなら田中芳樹の「晴れた空から突然に・・・」をオススメしときます。
Commented by namatee_namatee at 2015-08-22 07:20
>ボウコウさま
おお、参考にさせていただきます。
大型の硬式飛行船はロストテクノロジーに近いので、クライブ・カッスラー氏がダーク・ピットシリーズとかでネタにしてくれないかなぁ、なんて思ってます。
Commented by uwabaminoago at 2015-08-24 09:07 x
飛行船はたまに飛んでいるのを見ます。機種名まではわからないですが。独特のエンジン音とゆったりした動きを感じていると、良い意味であくびが出そうになります(笑)
Commented by namatee_namatee at 2015-08-24 19:09
>uwabaminoagoさま
現在、日本にある飛行船は「スヌーピーJ号」だけだそうです。今は秋田とか青森のあたりに出張しているようですね。
あれは軟式飛行船なのであまり大きくないです。全長40mないぐらいだそうです。ツェッペリンNTは80m近い大きさだったのでほぼ倍もあって、ちょっとだけですけどかつての硬式飛行船の雰囲気がありました。
Commented by uwabaminoago at 2015-08-24 19:28 x
あっ、そうなんですか。最近ですと、2年くらいまえに町田で見かけましたね。その前は茅ヶ崎の海岸で見かけたこともあります。空中をあれだけゆったり移動できる乗り物って意外と少ない気がしますね。
Commented by フラフープ at 2015-08-24 22:42 x
子供の頃から、飛行船に乗るのが夢なんです。今なら「GARNET CROW」の「Over Drive」を聞きながら乗ってみたいですね。へきるさんのあの曲も捨てがたいんですけど。
Commented by namatee_namatee at 2015-08-25 09:11
>フラフープさま
少し前だったら例のツェッペリンNTに乗れたんですけどね。遊覧飛行してましたから。本文に書いた通り、ものすごく高いのとそれでも応募者が多かったらしく、なかなかの険しい道だったようです。確か夜の東京湾上空クルーズとかもあったような気がします。惜しいことをしました。
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