よすが

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さて、昨日イヤホンの下敷きになっていた椎名さんの関連の同人誌。
例によって通販で購入しました。価格はほんの数百円ですが、内容はなかなか興味深い。どれも1995-1996年ぐらいの時期に発行されたもので、椎名さんの楽曲の紹介やライブレポート、パロディっぽいマンガですね。
前にネタにしたルート・ヴィーナスさんのものが2冊、違う作者さんのが1冊ですが、いずれにも共通するのが椎名さんに「今のままでいてほしい。」という切実な願い。とにかくセンシティブというか、繊細な心持ちが文章から伝わって参ります。わたくしがこうやって書いている駄文などとは比べ物にならない真面目さ。

当時はネットがまだまだ一般的ではなかった時代、わたくしが筑波の方の大学で研究していた友人にwebというものを初めて見せてもらった頃ですなぁ。>遠い目
情報発信といえば、このような同人誌やあるいはパソコン通信などに限られていました。今、同じことをしようとしたらウェブサイトやブログ、ツイッター、フェイスブックとなんでもありですね。
そういう時代に、「椎名へきる」というそれまでになかったタイプの、あれはなんというんでしょう、アイドル?タレント?うまく表現できませんが、それまでの同種のスポットライトを浴びるような立場の方々とは明確に違う「声優」という出自を持つ「椎名へきる」というキャラクターの出現に熱狂した様子が伝わって参ります。それこそ本当に痛いほど。

よく言われるように(わたくしは実感してませんけど。)当時は芸能界もしくは世間での声優さんの地位はさほど高くなく、彼女彼らの持つ芸や技術とルックス、キャラがアンバランス(ご、語弊あり。w)だった時代、明確に一線を画した特徴的なキャラ(あからさまにいえば、アイドルとしても通用するルックスと歌い手としても通用する歌唱力と声を備えていたということ。)を持った「椎名へきる」という存在は、アイドル冬の時代と言われたこともあって革命的なインパクトがあったのは想像に難くないです。おそらく熱狂的な支持があったはず。
それは一般的に認知され勃興しつつあったアニメファン(もちろんこの時代より前にもアニメファンは存在しました。わたくしもその一派です。ただ、世間的にある程度影響のある発言力を持つようになるのはやはりこの頃からだと思いますね。)と持って行き場のないエネルギーを持て余したアイドルファンの期待を一身に背負うようなフィーバー(古い。)だったのではないかと想像します。
古色蒼然たる、誰かに押し付けられた、それまでのステロタイプのアイドルではなく、自分たちの側から生まれた、純粋に「こちら側」の出自を持つニュータイプ。「椎名へきる」というものに、いわゆる「ヲタ」が託した夢があったと。

・・・こうやって書いてみると椎名さんってすごいな、おい。w
あんなにヘロヘロで、普通に話している分には特にとんがったところもなく、配慮とか遠慮の塊みたいな、写真とればだいたい端っこに写っている、すごく小柄で細っちい、もう2回目の成人式とか言っている、つい先日横浜と新宿で2m以内まで近づいて一言二言言葉と目線を交わした、あの人が20年前にはこういう存在だったってのは、なんていうか感無量ですなぁ。

話を戻すと。
そういう熱い気持ちをぶつけたのがこれらの同人誌なんですよ。今で言うところの「炎上」みたいなものが、間接的に起こっていたんじゃないかと想像します。その受け皿がこういった同人誌だったと。
でも、これらに掲載されている楽曲やライブに対する評論の態度は冷静です。わたくしがことあるごとに糾弾し続けてきた、いい加減なレビューなど足元にも及ばない、正確な評論。ファンなのにあくまで冷静。たいしたもんだ。

前述の通り、全体に椎名さんに変わって欲しくない、でもこの先もっと飛躍してほしいみたいな切実な願いを感じます。あと「へきバンズ」に対する親愛の情のようなものもありますね。
だから、この2年後には全てががらっとひっくり返るのを知っている身としては、やはり読んでいて心が痛い。

今まであまり書いたことはありませんでしたが、わたくしには椎名さんのファンについて「なんだかんだ言って、結局は最後まで支えきれなかったんでしょ?」という、狭量な想いがあります。たかが1枚数千円のCD、同じくわずか数時間とやっぱり数千円のライブに行くためのコスト、それすらも出せなくなるほど醒めてしまうものかってね。あの熱狂的な支持の行き先はしょせんそんなもんですか、って。
だがしかし、これらの当時の同人誌を通して伝わって来るファンの気持ちを知ると、そういったコストの問題ではないというのがわかります。やっぱりどうしても許容できないことってのはあったのかも知れません。
20年も経ってから、知ったようなことを言っている立場では踏み込めない事情があるんだろうなぁ、と少し考えを改めつつあります。

20年後の今だから、音楽性の変遷などと他人事のように言ってられますが、1995-1996年当時、最前線に身を置いて熱狂していた場合、あの劇的な変化はどのように感じられたのか。どうしても受け入れ難かったとしても、それを責めるのはちと酷かなと思います。
もっとも、当時このような同人誌まで作ってしまう方々はいまでもファンを続けていて、いわゆる強者などと呼ばれる存在なのかもしれませんけど。

・・・誤解を恐れずに今のわたくしの気持ちをいえば「間に合ってよかった。」です。w
このネタはもう少し掘り下げていこうと思います。
by namatee_namatee | 2014-10-25 21:47 | music | Comments(14)
Commented by フラフープ at 2014-10-25 23:01 x
どこか彼(僕)らに対して、冷めた目で見ていたのが伝わっていたので、namateeさんの認識の変化は、歓迎です。行きすぎたところはあったにせよ、やはり心からへきるさんを好きだった人には、寛容でありたいのですよ。
それにしても、よほどよく書かれていたんですね!
Commented by namatee_namatee at 2014-10-26 07:46
>フラフープさま
ちょっと書き方が悪かったかも知れないですね。
理解はしますが共感は無い、と言ったところです。(汗
起きたこととわたくしの思い入れは別として、分けて考えていこうと思います。
Commented by フラフープ at 2014-10-26 10:07 x
それで良いのではないでしょうか。
こちらの同人誌も、読むのを楽しみにしています、しかし、同人誌一つからでも歴史を感じますね。ターポンに載せるかどうかは迷いますが。w
Commented by namatee_namatee at 2014-10-26 22:21
>フラフープさま
もちろん持って行きますよ。>同人誌
当時の様子を知のに意外な有効な手段でした。もっと後の奴があるかどうか、探しておきます。
Commented by hekirah at 2014-10-27 02:58 x
namateeさんこんばんわ。過去を掘り下げるこの話題、非常に気になります。自分でこの同人誌を読んで、過去を振り返りたい位です。声優に一生懸命だった頃のへきるさん、パステルやレイアース、など主役の声優の役に抜擢されたこともすごいことですが、当時の可愛過ぎるルックス、愛嬌のある性格、自身のキャラも個性があり、ひの打ちどころのないアイドルを超えた、存在でした。アニメ出身でヨタと言われる、人たちが好むような容姿、またその本から訴えていることはその頃のへきるさんのままでいて切望するおもいは、確かに当時のへきるちゃん、いまではさんですが、そのままで声優を軸に活動してほしいという当時の人たちの気持ちは、今になってですがほんとによくわかります。
Commented by スピンマン。 at 2014-10-27 10:32 x
自分からすれば、ロックに目覚めた以外は、変わってないと思うんですけどね(笑)
ロックねーちゃんしてても、目に見えるような容姿やルックスの変化はないですし。
ボディピアスとかしたら、それはそれでアリかもしれませんが(^^;;

生き方としては、先日フリーになった後輩の浅川悠嬢の方がロックしてますしね(笑)
Commented by namatee_namatee at 2014-10-27 12:24
>hekirahさま
掘り下げるというほどでは。(汗
このエントリーでは内容に具体的に触れることができなかったので、もう少し引用する部分を増やすとか、そんなレベルで勘弁してください。w

本文に書いた通り当時ネットが未発達でしたので、生の声とでも言うのか、ファンが何を考えていたのかをリアルタイムで知るには大変良い資料だと思います。>この手の同人誌
公式な資料だけでは掴みずらいというか掴めない、さまざまな子細な出来事が、椎名さんの評価やファンの心理に及ぼした影響がおぼろげながらわかってまいりました。
hekirahさんは長いファン歴をお持ちですから、わたくしの解釈に変なところがあった場合はご指摘くださるとありがたいです。
Commented by namatee_namatee at 2014-10-27 12:25
>スピンマン。さま
なんていうか、主要な表現手段が音楽と声優さんとしての活動では影響力の大きさが段違いに音楽の方が大きくて、本人は変わってなくても、力を入れる方向が音楽に向くと、結局いろいろ大幅に変わっていってしまうのをみんな感じてたのかも知れません。
特にこの時期、95-96年は「椎名へきる」の立ち上げが成功しつつあって、さあ次はどっちへ行くんだ?みたいな期待と不安があったのではないかなぁ、と思います。何しでかすかわからないという本人のキャラクターも影響して、このまま消えてしまうんじゃないかという危惧も感じられます。

>榊さんの人
アーツビジョンやめちゃったんですね・・・
Commented by スピンマン。 at 2014-10-27 12:46 x
>>namateeさん
あの当時のファンの先行きの不安感は理解しますが、この同人誌を発行されるにあたって、いったい誰に読んでもらいたかったんだろう?なんて考えてしまいます。

へきる嬢へ伝えたい手段として?

へきる嬢のファンに伝えたい為?

アニメファンに伝えたい為?

今の自分に言い聞かせる為?

この先の未来の自分に伝えたい為?

なんというか、こういった物を残されるということは、かなり繊細な方なんだろうなぁ…とも思います。

人生の折り返し地点を過ぎちゃうと、こういう熱い想いも笑い話になるんですけど、当時は好き過ぎちゃうと、そんな余裕もないですからね(笑)

Commented by namatee_namatee at 2014-10-27 18:54
>スピンマン。さま
それを言うとこのブログも一体誰に向かって何が言いたいのか?ということになりまして。(汗

おそらく、今のブログやツイッターのように自分の気になるもの、好きなものを世の中に向かって知らしめたいという欲求に基づいているのではないかと思います。なのでスピンマン。さんがあげた事柄は大体は合致するのではないでしょうか。それに加えて情報の少なかった時代、より煮詰まった熱い想いがあったことでしょう。

もしかして、今になってネタにされるのは著者の方からみると不本意かな?(汗

このブログは実は「日記」ですので、後で自分で読み返すために書いております。ここにいろんなことを書いたせいで、いろんなところで恥をかいてますが、それはそれ。w
Commented by フラフープ at 2014-10-27 19:29 x
誰もがいかれてた時代でしたよ。同人誌を書く目的は、多分自分でも説明できないんじゃないでしょうか。何かを好きすぎると、それに関連した何かをしたくて仕方なくなるんですよ、きっと。当時、楽器のたしなみのある人は音楽を、絵のたしなみのある人はイラストや漫画を、何もない人はひたすら心を燃やしていたように感じます。今でも、何年も前に終わった漫画の何気ないシーンを追い求めて、あちこち探索する方がいるわけで。w
Commented by namatee_namatee at 2014-10-28 07:43
>フラフープさま
今と違ってこういう敷居の高い方法(同人誌発行とか今でも敷居高いです。(汗)をとるしかなかったわけですし、当然、その一線を踏み越えられる人は相当に「濃い」わけでしょう。
こういった形で残すということはそれなりにリスクもありますし(ブログなら閉鎖して逃亡が可能ですけど。w)、それでなお、書きたいと思って実行させる「椎名へきる」のエネルギーはたいしたものだと思いますね。
おっしゃるとおり何もない人は、こういった同人誌、数は少なかったしこれまたなかなか敷居は高かったけどパソコン通信やウェブサイトを見て熱い心を燃え上がらせていたのでしょう。
Commented by フラフープ at 2014-10-29 19:46 x
考えてみれば、僕たちはいくつもの「一線」を越えて来たんですよね。ラジオを聞く、CDを買う、アニメを観る、ライブに行く、メッセージを送る、イベントや旅行に参加する・・なんだか感慨深いですね。
Commented by namatee_namatee at 2014-10-29 21:49
>フラフープさま
多数の人にたくさんの一線を越えさせる魅力ってものがあるんでしょうなぁ。>椎名さん

その一線の先の世界が長い年月を経て成熟しているというのも、それはそれで魅力の一つで、わたくしは出会えて幸せだと思っております。
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