いよいよ暑くなってまいりました。

いよいよ暑くなってまいりました。_c0019089_20332569.jpg

「ヨコハマ買い出し紀行」新装版第9巻第122話「スイカの日」より。
ちなみにわたくしはスイカは嫌いです。あの中途半端な甘さが我慢ならぬ。w

それはそれ。「夕凪の時代」の気候についてちょっと考えみましょう。この122話「スイカの日」でアルファさんは「昼間うちまで来るのはマッキちゃんにもキツいです」と言ってます。ご存知の通り、この時点でのマッキは元気一杯の年頃で、もともと強気な女子ですが、そのマッキをしても天候次第では屋外での行動は辛いという。
一体どんだけ暑いのか。

ネットで拾った情報によると、過去100年間で海面は17cm上昇し、平均気温のほうは0.7度上がったそうです。そこからザックリ適当に計算して見ると、平均気温が1度上がると海面は24cmほど上昇する。「夕凪の時代」では、現在に比べて海面は12-13m上昇しているということですので、そこから逆算すると気温はおよそ50度上がったということに・・・これでは生きて行けませんな。w
海面の上昇は温暖化のせいだけではないということでしょうか。あるいは気温の上がり具合と海面の上昇は比例していないのかも知れません。海面の上昇から「夕凪の時代」の気候を推測するのは無理ということですな。

では21世紀初頭の三浦の気候はどんな感じなのか。これまたネットで検索してみると、年間を通じて最も暑いのは8月で最高気温は30.4度。海に囲まれた地形のせいか、バカみたいに暑くはないようですね。似たような地形の銚子や海から冷たい風がはいってくる北関東(本当は南東北)のひらがな五文字市とも通じる気候のようです。まあ常識的な関東地方の夏の気温といったところでしょう。

そのような地域に住む、アルファさんやおじさん、マッキが暑いといって行動を差し控える(おじさんは日陰で昼寝、アルファさんはカフェアルファでのびている、マッキは?)ぐらいというとどんな感じなんでしょうねぇ。
昼間に歩いてカフェアルファに行くのがキツいとなると、30度後半ぐらいかなぁ。風があればしのげるような描写もありますから、海からそれなりに冷たい空気が流れ込んで来たりはするのでしょう。

「ヨコハマ買い出し紀行」の特徴として、お話の中で具体的な数値があまり明らかになっていないというのがあります。今回のネタの気温しかり、水面の上昇が12-13mというのも岩堂山の標高と「海抜70」というタイトルから推測したものです。登場人物の年齢についても言及されていないし、距離や時間についてもあいまいです。
なので、作品の描写から具体的な数値を導くのはとても難しい。>言い訳

というわけで「夕凪の時代」の三浦半島は「とても暑い」ということで。w
ただ、物語前半では四季がはっきりしないと言っているんですが、後半になると暑い時は暑いとして、冬には雪が降ったりもする。温暖化が進むと冬は冬らしくなるそうですが、それにしても海面が10m以上も上昇してしまうほどの温暖化(それが原因の全てではないとしても。)があったら、さすがに雪が降るようなことはないでしょう。思うに物語の進行で温暖化はおさまり、気温(平均的な)は平常に戻りつつあるのではないでしょうか。数十年後と思われる最終話の時点で、カフェアルファが海に飲まれず健在なのは、実は温暖化と海面上昇が鈍化した、もしくは以前と同じ水準にもどったから、と考えると説明しやすいような気がしますし。
土砂が流れ込んで新しい陸地が出来てくるという描写もありますし、物語のある時点で海面上昇はおさまりつつあるのではないかと推測します。
その割には第128話「視線の星」ではカフェアルファの裏の崖がごっそりもっていかれたりしているんですけどね。まあアルファさんはさほど心配している様子も無い(いずれは波に飲まれると覚悟が決まっているせいかも知れませんけど。)し、もっていかれたのは赤土の部分だと言っているので、決定的な出来事ではないのかも知れません。

先述の通り、平均気温と海面の上昇の比率から導かれるように「夕凪の時代」の海面上昇はいわゆる環境破壊などによる平均気温の上昇が原因ではないということになりますかね。なにか、もっと急激な変動があったはずです。やっぱり世界的な戦争とか動乱ですかね。富士山のてっぺんが無いことから考えると、世界的な火山活動の活発化などにより、一時的に気温が上がって水面が上昇し、耕作地が減って世界的な食料危機、それが原因で世界大戦とかが考えつくところ。
戦争は終りましたが治安が乱れていた時代があり、町では銃器が売られ、アルファさんやココネは拳銃で武装すると。芦奈野先生によれば物語の時点では武装は形式的なものということですので、終戦からは相当な時間が経っているのでしょう。

子海石先生とおじさんの推定年齢からみてみると、おそらく40年位前に海面上昇が始まり、その後に戦争・動乱の時代があったのではないかと思われます。ではロボットの人はその戦争・動乱の時代の後に生まれたのか、それとも前だったのか・・・実はこれも難しいところで、子海石先生は1度目の大高潮がおさまりつつあったときに「鶚」のテストをしており、それがロボットの人の開発のためのデータ収集だったといってますので、戦争・動乱の時代より前にロボットの人の開発は始まっていたのでしょう。
だがしかし、ロボットの人の研究は予算が乏しく遅々として進まなかった。よくあることですが、戦乱が近づいていることが予想され、もしくは戦争が始まると軍事目的での開発という道が開かれ、ロボットの人の開発は急速に進んだのではないか。子海石先生の言う「楽しい話ばかりじゃない」ってのはここら辺ですかね。あとナイのいう男のロボットは弱いってのもなにか関係がありそう。

「文明が戦争を産むのではない。戦争によって文明が作られたのだ」by 将軍
by namatee_namatee | 2014-07-16 22:05 | book | Comments(20)
Commented by ボウコウ at 2014-07-16 22:47 x
実際は海水自体が冷媒として気温を吸収してくれるので、思ったほど海面上昇はしないという研究も聞いたことがあります。
Commented by フラフープ at 2014-07-17 07:14 x
南極の氷が全部溶けたら、海面は40mから70m上昇するそうですね。理論上はまだまだ上がる余地がある中での、上昇停止ということなら、やはり一時的もしくは短期的な原因による上昇だったんでしょうか。いや、そもそも人類の存在自体が、地球的に見れば、一時的もしくは短期的でしかないのか。などと大きなことを言ってみたり。
しかし、この時代の人々には「復興への活力」が感じられないと思いませんか?よほど大きな、継続的な何かが原因で、価値観の変動があったような気もするんですよね。
Commented by namatee_namatee at 2014-07-17 14:41
>ボウコウさま
海水温の上昇で海水が膨張して水面上昇するってのに驚きました。
いずれにせよ、この時代の海面の上昇の原因は温暖化とは考えづらいですよね。
Commented by namatee_namatee at 2014-07-17 14:47
>フラフープさま
みんなあきらめちゃってますよね。
もうダメだ、と人々の心を折る(それこそ子海石先生のような人まで)出来事があったんでしょう。それがなんなのかは手がかりすらありません。(汗
ターポンとか街灯の木とか人型キノコとか、怪しげなアイテムはいろいろありますけど・・・
Commented by フラフープ at 2014-07-17 21:48 x
ミサゴの存在もかなり謎だし、アヤセが見たビルみたいなヤツもよく分からない。柿や栗が異様に大きいのは・・ただのギャグか。おばちゃんが大笑いするくらいだし。
Commented by namatee_namatee at 2014-07-17 22:23
>フラフープさま
ミサゴはやっぱりA6なんですかね。
実は桃もあるんですよ。ブドウの房のように生るという。どっちだっけ、一番上だか下が一番美味しくてその反対は死ぬほどマズいという。w

「峠」に出て来た巨大な「ミナミトビカマス」も謎ですね。それをいったらあの女の子は誰なのかってのも謎なわけですけど。書き出したらキリがありませんね。w
Commented by フラフープ at 2014-07-17 23:21 x
動植物が、ちょっとまともじゃないですね。異常気象のせいでしょうか?あと、やはりミサゴはアルファさんたちのプロトタイプ、もしくは失敗作じゃないかと思います。コミュニケーション能力もないし、あれ単独で何かの意味があるようには思えないのです。
Commented by namatee_namatee at 2014-07-18 08:33
>フラフープさま
アヤセによるとロボットの人だとすると時代が合わないそうですね。>ミサゴ

実は戦争・動乱の時代に量産された軍事用ロボットの野良wとか。もともとは命令されたことをその通りに実行するだけの機能しか持たなかったタイプなのが、なにかのはずみに人間にちかい意識を持つようになった個体で、これまたなにかのはずみで軍から逃げ出したとか。当然、捜索されるはずですが、その過程で自分に害をなす大人は避け、子供の前には姿を現すようになった、なんて。

妄想のネタはいくらでもありますね。w
Commented by フラフープ at 2014-07-18 12:29 x
エヴァンゲリオンも、謎を提示するタイプの作品でしたが、今になってみると、押し付けがましい感じがします。謎は謎のままに、その世界を楽しめるというのは面白いですね!ドラマCDでは「謎」がクローズアップされませんでしたね。
Commented by namatee_namatee at 2014-07-18 15:06
>フラフープさま
エヴァはいかにもわたくしがハマりそうなエピソードにあふれているんですが、それ以外のところ、なんとなく商売っ気がありすぎるような印象で、ハマりませんでした。(汗

ドラマCDはストーリーに解釈の仕方が普通なんですよ、きっと。あれこれと謎をひっくり返して喜んでいる我々がちょっと違う道を進んでいるのかもしれないと思いました。
Commented by フラフープ at 2014-07-18 19:38 x
その分かれ道には、きっとターポンが。>違う道
Commented by namatee_namatee at 2014-07-18 21:44
>フラフープさま
ターポン、ターポンですねぇ。地上の人が心配している様子がありますので、あれもいつまでも平気で飛んでいるというわけでもないのかもしれません。他に何機もいたけど、残ったのはあの一機とかかも。

そういえば「ヨコ出し血風録」(同人誌)では墜落してました。w>ターポン
http://namatee.exblog.jp/19187578/
Commented by フラフープ at 2014-07-19 06:03 x
同人誌って、そういった物語の根幹に関わるような部分に手を加えたりもするんですよね。もっとこう、無責任なサイドストーリーに終始するもんだと思ってました。
Commented by namatee_namatee at 2014-07-19 11:22
>フラフープさま
「ヨコ出し血風録」はネタです、ネタ。w
カフェアルファのメイポロが限りなくお湯に近いってのが笑いどころ。

ウチにあるもののタイトルを忘れちゃってますけど、オーナーが帰ってくるのもありました。こちらはかなり真面目なお話です。「ヨコハマ買い出し紀行」は妄想の余地がたくさんあるので、おっしゃるような物語の根幹に関わるような同人誌も多いですよ。
Commented by フラフープ at 2014-07-19 15:33 x
ごめんなさい。訂正です。
13の2行目「ですよね」は「ですね」の間違いです。一文字で周辺情報が変化しうるという、日本語の複雑さを表す好例ですね。
というわけで「根幹に関わるような同人誌」はないと思っていましたが、ああ、あるんですねぇ。
Commented by namatee_namatee at 2014-07-19 21:33
>フラフープさま
そのように読んでました。w
同人じゃなくて公式な小説で物語の根幹に関わる改変が行われてしまった事例がありまして。(汗
Commented by フラフープ at 2014-07-20 10:19 x
13と14が噛み合ってはいましたが、念のための訂正でした。>そのように読んでました
壊れたアルファさんを、誰かが発見して直すんですよね?namateeさん的には、本編の終わり方がベストなので、未来編は蛇足、と。
Commented by namatee_namatee at 2014-07-20 22:17
>フラフープさま
ちょっと違いますね。>壊れたアルファさん
あらすじはこちらをどうぞ。
http://namatee.exblog.jp/21093444/

未来篇はあっても良いですよ。でも、小説版のような殺伐とした世界ではなく、たとえ人間は居なくなってもロボットの人の楽園であって欲しいと思いますね。
Commented by フラフープ at 2014-07-21 01:25 x
そうでした、オメガくん。
アルファさんがそうであったように、ほかのロボットの人も休眠機能はないんですかね?
Commented by namatee_namatee at 2014-07-21 18:30
>フラフープさま
休眠機能は小説版の設定ですからね。というか、普通に生活すること自体がロボットの人に期待された仕事なんじゃないかと思うので、スリープはしないんじゃないですかね。
名前
URL
削除用パスワード


<< wktk 久しぶり >>