座右の書(大げさ)

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見ての通り「航空ピストンエンジン」という本でございます。先日の金星つながりで。

座右の書というのはちょっと大げさですが、よく読むのは確か。
内容はレシプロエンジンの基礎とWW2の頃までの航空ピストンエンジン全盛期の主だったエンジンについての概論といった感じ。最後の方に現代(といっても1990年代ですけど)のエンジンについての記述あり。
正直、物足りないですね。個別のエンジンについて深く探求したいとかいうのには向きません。あくまで一般常識・・・常識の範疇なのかなぁ、航空ピストンエンジンって。いやまあ、常識的な範囲でざっと述べる、という本です。
例えば有名なRR・マーリンの各型のスペックについて知りたい、なんてのは出来ません。そういうのはこういったページを参照させていただけば良いのですが(ありがたや、ありがたや)マイナーなエンジン、例えば屈指の大出力空冷エンジンのブリストル・セントーラスとかになると、諸元を確認できて解説もある日本語のページなどそうかんたんに見つかりませぬ。Wikipediaも侮りがたいんですが、もうちょっと詳細な資料が欲しい。地味に探せばあるんですが、データシートだけとかで愛想の無いこと甚だしい。要するにその領域になると常識の範疇を超えるんでしょうな。w

もっとも概論とはいえ、一般的にあまり馴染みが無いけど航空エンジンではそれなりに普及したスリーブバルブやディーゼルについては当然のように触れられてます。そこら辺を知ることが出来るだけでこの本を読む価値はあると思いますね。あとターボコンパウンドとか、変態エンジンのネピア・ノーマッドについてもちょっとだけですが書いてあります。

訳に癖があって読み辛い。なんか翻訳サイトで訳したのをちょっと手直ししたような文章でして。おまけに概論とはいえ専門用語があちこちに出て来るので読み辛いこと甚だしい。

いやしかしノーマッドって本当に変態エンジンだ。特に初期型のノーマッドは2ストロークのディーゼル12気筒(これは改良型も同様)に排気タービンが二つあって、その排気タービンは通常は片方のタービンが過給器を回してなおかつ二重反転プロペラにパワーを伝える。よりパワーが必要なときは2つめのタービンにも排気ガスを送って1つめのタービンと同様に過給器とプロペラを回す。もちろんタービンとは別に機械式加給器もありますよ。離陸時や緊急時には特別に設けられた燃焼室で燃料を燃やしてタービンをぶち回すという。排気はジェットノズルから排出されて推力も生むのだそうです。要するにターボプロップの燃焼部がレシプロの2サイクルディーゼルになっていると思えば大体あってます。変態だー。

他に印象的なのはP&WのH-3730(水冷スリーブバルブでH型24気筒)、やはりH型24気筒スリーブバルブのネピア・セイバー、忘れちゃいけないユンカースの一連の対向ピストン・ディーゼル(シリンダーの中央に燃焼室があって両端から中央に向かってピストンが空気を圧縮していく。当然クランクシャフトはエンジンの両端に2本ある。変態だ(ry)とか。ワスプメジャーやデュプレックスサイクロンが芸の無い平凡なエンジンに見えますよ。

ターボF1の時代にわずか1.5Lのエンジンで800馬力とか、信じられないパワーに驚いたもんですが、元ネタはここら辺の航空ピストンエンジンにあるような気がしますなぁ。航空ピストンエンジンの世界では排気量は出力にあまり関係がないようで、パワーは加給器の出来と燃料のオクタン価できまる感じ。メンテサイクルや燃費などの経済性の部分まで含めると余裕のある大排気量の方が有利な印象になりますが。WWIIの時の航空エンジンは経済性は度外視されてますので、その分ロマンはありますね。

ロマンを感じるとはいえ、エンジンなんてのは用途があってのもので、好き勝手に作っているわけではありませんから、戦争が終わって危急の必要性が薄れると特に大型の旅客機では前述の経済性や耐久性が重視されるようになり、やがてレシプロエンジンはターボジェットに駆逐されていく・・・

と、ネタ切れのgdgdな割には無駄に長いネタでございました。
by namatee_namatee | 2012-03-28 22:39 | book | Comments(5)
Commented by 工房のひと at 2012-03-28 23:45 x
ウチも負けてられないなあ(いやまて
Commented by namatee_namatee at 2012-03-29 07:53
>工房のひとさま
変態というとキメラとかハイブリッド・・・WA2000にP90のメカボを(ry
Commented by まねきねこ at 2012-03-29 14:04 x
エンジンといえば、栄とか金星とかしか馴染みが薄いなぁ・・・・(オイw
Commented by namatee_namatee at 2012-03-29 16:41
>ねこさま
この本の日本製エンジンについての記述は・・・ひとつを見ればすべてを見たことになる、です。orz
Commented by まねきねこ at 2012-03-29 22:38 x
そういえば今朝の中日新聞に、長野の飯田で彩雲のエンジンカウルが民家に保管されて見つかったと載っていました。
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